
「採用した人材がすぐに辞めてしまう」
「入社後のミスマッチで社員も企業も苦しんでいる」
このような悩みを抱える企業は少なくありません。
採用ミスマッチは、採用コストの増大だけでなく、組織全体の生産性低下や既存社員のモチベーション低下にもつながる深刻な問題です。
本記事では、採用ミスマッチが起こる根本的な原因を7つの観点から分析し、募集から入社後フォローまでの各段階で実践できる具体的な対策を詳しく解説します。
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厚生労働省が発表した『新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)』によると、大卒者の3年以内離職率は34.9%。(※1)
また、同省の調査(令和3年度)では、正社員1人あたりの平均採用コストが、民間職業紹介事業者経由で85.1万円、求人媒体経由では11.3万円と報告されています。(※2)
教育コストを含めるとさらに負担は増えます。
早期離職による業務停滞や引き継ぎの負担は、既存社員の残業増加やストレス増大を招き、組織全体の生産性を大きく低下させる要因となっています。
採用ミスマッチは複数の要因が複雑に絡み合って起こります。
企業と求職者の認識のズレは、選考段階で生じており、これらを理解することが対策の第一歩です。
以下の4つの要因について、具体例を交えながら詳しく解説します。
企業が求めるスキルレベルと候補者の実際の能力にギャップが生じるケースです。
例えば、面接で「Excelが使えます」といっても、実際は基本的な入力作業レベルとマクロ作成レベルでは大きな差があります。
特に中途採用では、前職の業務範囲や使用ツールの違いから、期待されたパフォーマンスを発揮できないことが少なくありません。
技術職やエンジニア職では、プログラミング言語の習熟度や実務経験年数だけでなく、問題解決能力の差が入社後に明らかになることもあります。
企業文化や職場の雰囲気、意思決定のスタイルなど、明文化されていない暗黙のルールと個人の価値観が合わないケースです。
例えば、「風通しの良い職場」と聞いてフラットな組織を期待していたものの、実際は上下関係が厳しいと感じる求職者もいます。
また、チームワークを重視する人が個人プレー中心の職場に配属されることもあれば、その逆のパターンもあります。
社員の働き方や価値観が多様化しているため、こうしたミスマッチを防ぐための配慮が必要です。
給与や福利厚生だけでなく、実際の労働環境に関する認識のズレにも注意しましょう。
例えば、繁忙期は残業時間が60時間を超えるにもかかわらず、求人票には「残業月平均20時間」と記載されていると、入社後にトラブルになる恐れがあります。
リモートワークについても「制度あり」とあっても、実際は申請が通りにくかったり出社が暗黙の了解となっていたりする場合は、正確な情報提供が必要です。転職者が重視する「ワークライフバランス」の実態と期待値のギャップは、早期離職の大きな原因となるため、誠実な情報開示が求められます。
候補者がイメージしていた業務内容と、実際に任される仕事が異なることで起こります。
例えば、「企画職」として採用されたのに実際は事務作業が中心だったり、「マーケティング」と聞いていたのに実際は営業サポート業務だったりするケースです。
特に未経験者や第二新卒採用では、仕事の具体的なイメージが持てないまま入社し、理想と現実のギャップに直面しやすくなります。
また、裁量権の範囲についても認識の相違が生じやすいため、事前の説明が重要です。
採用ミスマッチを防ぐには、募集から入社後のフォローまで、各段階で適切な施策を行うことが大切です。
ここでは、すぐに取り入れられる具体的な方法を、採用プロセスの流れに沿って解説します。
求職者に自社のリアルな姿を正確に伝えることが、ミスマッチ防止の第一歩です。
求人票には具体的な業務内容や一日のスケジュール例、必要なスキルレベルを明記し、曖昧な表現は避けましょう。
RJP(現実的な職務予告)の考え方を取り入れ、良い面だけでなく課題や厳しい面も誠実に伝えることで、入社後のギャップを軽減できます。
社員インタビューや職場見学の機会を設け、実際の職場環境や雰囲気を体感してもらうことも効果的です。
面接では構造化面接を導入し、全ての候補者に同じ質問をすることで、公平かつ客観的な評価が可能になります。
「過去の具体的な経験」を聞くSTAR面接法(Situation、Task、Action、Result)を活用し、過去の具体的な経験から行動パターンや価値観を把握しましょう。
また、複数の面接官による多面的な評価と評価基準の統一により、主観的な判断によるミスマッチを防げます。
内定から入社までの期間は、候補者の不安が高まりやすい時期です。
定期的な連絡や内定者懇親会の開催で企業とのつながりを維持し、内定辞退を防ぎましょう。
入社後は体系的なオンボーディングプログラムを実施し、業務理解と組織適応を支援します。
メンター制度を導入し、新入社員が相談しやすい環境を整備することも重要です。
入社1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の節目で面談を実施し、期待値のズレや不満を早期に把握・改善することで、定着率の向上が期待できます。
従来の採用手法を超えた、より本質的なミスマッチ防止策が注目されています。
ここでは、先進的な企業が導入している新たなアプローチを紹介し、これからの採用活動のあり方を提案します。
多くの求職者が、転職会議やOpenWorkなどの口コミサイトの情報を参考にしています。
たとえネガティブな評価があっても目を背けず、真摯に受け止めて改善に活かす姿勢が重要です。
例えば、悪い口コミに対して企業が公式に改善策をコメントすることで、候補者からの信頼を得ることも可能です。
透明性の高い情報開示は、ミスマッチを防ぐだけでなく、企業ブランドの向上にもつながります。
口コミを貴重なフィードバックと捉え、組織改善のPDCAサイクルに組み込むことが大切です。
口コミなどの生の声を重視する求職者が増えているため、候補者体験(CX)を重視することも大切です。
選考の透明性や迅速なフィードバック、丁寧なコミュニケーションで信頼を築きましょう。
事業環境の変化に応じて、必要な人材像も変化します。
定期的に現場の社員や経営層と対話し、採用基準を見直すことが重要です。
スタートアップ期に求められた「何でもできるゼネラリスト」から、成長期には「専門性の高いスペシャリスト」へとニーズが変わることもあります。
四半期ごとに採用要件を見直し、現場のニーズと乖離していないか確認しましょう。
また、既存社員の成功パターンを分析し、自社で活躍できる人材の特徴を言語化することで、より精度の高い採用基準を設定できます。
さらに、採用市場や求職者のニーズの変化に応じて、多様な働き方や価値観を受け入れる採用基準の見直しも、優秀な人材獲得には欠かせません。
採用ミスマッチは、企業の成長と社員一人ひとりの幸せなキャリア形成の基盤です。
原因を正しく理解し、採用プロセスの各段階で適切な対策を講じることで、早期離職を減らし、組織の強化につなげることができます。
ミスマッチの防止は単なるコスト削減ではなく、社員が能力を最大限に発揮し、長く活躍し、成長できる環境づくりそのものです。
これにより、企業は持続的な競争力を獲得し、社員は充実したキャリアを築くことができます。
当社では、採用の成功における実績と経験より、企業に最適な提案をしています。
新卒、中途採用の改善をお考えの方は、お問い合わせからご相談ください。
レジェンダ担当者のコメント
売り手市場で転職のハードルが下がり、候補者の価値観も多様化する中、面接官の経験や勘に頼る「感覚的」な評価では本質を見抜けず、深刻な採用ミスマッチを招きます。この課題を解決する鍵は、採用初期での的確な見極めです。構造化面接などの「評価の仕組み」と、面接官トレーニングによる「採用側のスキル向上」を両立させましょう。さらに、入社後も体系的なオンボーディングや定期面談といった「受け入れの仕組み」を整え、採用から定着までを一貫したプロセスと捉えることが、組織力の最大化につながります。
面接官トレーニングやオンボーディング施策など、ピンポイントなサポートについてもお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
金濵 祐香子
採用支援事業部
■経歴
通信・IT・メーカー・製造・小売など、さまざまな業界のクライアントを担当し、新卒・中途採用の支援をPMとして推進。常駐・遠隔の両形態で支援を行い、リクルーター・面接官・バックオフィス統括等の役割を担いながら、選考設計から運用まで一貫して支援している。

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