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採用コラム面接官は良きInterviewerであれ

3月に入り22新卒採用が本番を迎えています。3月1日で解禁となり採用が本格化してくると、すぐに「面接」がスタートしていきます。
毎日のように何ラインもの面接が走るあの日々がまたはじまるわけです。
皆さまの会社でも既に面接がはじまっていて、正に大忙しという方も多いのではないでしょうか。

昨今オンライン面接が新卒/中途ともに主流となりましたが、当社にいただくお問い合わせの中には、まだまだオンライン面接の見極めに悩みや課題を抱えている企業様も少なくないようです。
私も導入当初は戸惑いがありましたが、現在ではオンライン面接に慣れた面接官の一人です。
そんな私が現段階で振り返ってみての最終的な結論としては、オン/オフどちらの面接でも本質的なポイントはほとんど変わらないと考えています。

というのも、面接を実施するための手法が変わっても面接官がやること、評価基準は変わらないからです。

そこで今回は、採用選考の代表的な手法「面接」について、改めてその位置付けや、「面接官」としてのあるべき姿を考えてみたいと思います。
人事の方や面接官を務める方のご参考になれば幸いです。

面接官は評価者である前にInterviewer(インタビュアー)であるべき

面接とは、物理的・時間的制約の大きい中で、評価に必要な情報を応募者から直接収集し、その情報に基づき応募者を評価する行動です。
一見当たり前のようですが、それを正しく実践できている面接官は少ないと感じます。面接官の多くは応募者に関する情報を十分に収集することなく、印象や思い込みで評価してしまっているケースが見られます。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
その原因として、「面接における情報収集が非常に難しい」ということが挙げられます。

なぜ難しいのかというと、「瞬間」ともいえる限られた時間の中で、武装した応募者から「自己申告」すなわち、本音を引き出し、時に不要な情報は制御しながら、応募者評価に本当に有効な情報にフォーカスしていかなければならないからです。
しかし、情報収集が十分に出来ない根本の原因は、面接官自身が自分の役割を正しく自覚していないことに起因しているのではないか、と私は思っています。

「面接」は、英訳すると「Interview(Job Interview)」となります。
つまり、面接官は評価者である前にInterviewerである、という原則を表していると言えます。

適切な情報収集のためには、採用基準を理解することが不可欠

ひと言で情報収集と言っても、その情報の種類は、応募者のパーソナリティ、興味、能力、技能、価値観、思考特性、行動特性など多岐に渡ります。限られた時間の中で、これらの情報を網羅的に収集することは困難です。
では、面接官はどの様な情報を収集することを目指せば良いのでしょうか?
その指標は、自社の採用基準、そして担当する面接ステップの評価項目にあります。

採用基準や評価項目を理解せずに面接を実施すると、結果として応募者の評価には役に立たない情報だけが残ります。
こうなった時、大体は「保留」か「何となく悪くなさそうだからボーダーで通す」という結果になります。時間いっぱい色々話したけれども判断する材料がないので当然の結果と言えます。

だからこそ、面接は、「どのような情報を引き出すか」という明確なテーマを持って臨むことが必要なのです。

実際、私がさまざまな企業様で面接に同席させていただいていると、応募者に意図が分からない質問を投げ掛ける面接官や、明確化されている採用基準や評価項目に関する情報を収集しない面接官、ここぞという重要なところで話の掘り下げをせずに話題を変えてしまう面接官などに出会うことがよくあります。

上記のような面接官は、正しい理解と確固たる目的を持って面接に臨んでいない典型です。

そうした状況を回避するために人事がすることは2つ

  • 採用基準を明確化する  (コミュニケーション力が高い人って具体的にどういった状態など)
  • 採用基準を面接官に浸透させる  (期初にちゃんとしたブリーフィングを設ける/面接官トレーニングを実施するなど)

これから面接がはじまっていくと思いますが、実施する前に人事の皆さんはこの二つの準備をされると良いでしょう。

本音の情報を引き出すために、応募者に興味・関心を持つ

これまでお話したように面接では質問による情報収集に徹すること、その質問は採用基準に基づいたものにすることが重要です。
しかし、尋問のように問い詰めても情報を引き出すことは出来ません。ポイントとしては応募者に興味・関心を持って面接に臨めるかどうかが大事なのです。

というのも、応募者は自分に興味・関心を持ってくれていない(或いはそのように映る)面接官に対して、自分を曝け出そうとはしません。
これは日常会話に当てはめてもらうとわかると思いますが、自分の話に全く興味を持ってくれない人と話している時って、興味関心を持たれていないことが話していて分かりますよね。
そして、何よりその人と話していても楽しくないと思います。そのため、興味がないとわかった瞬間、人は会話を短く切って早々に話を収めてしまうのです。
本音が聞き出せない場合の多くはこの状況と一緒なのです。

良い面接官とは、心地よい空間を演出し、Interviewを通して応募者との信頼関係を構築し、何より最後まで応募者に興味・関心を抱き続け、結果として他社の面接官が引き出せない情報や本音を引き出すことができる面接官です。

短時間で応募者を見極められる面接官が本当に良い面接官なのではない、と私は思っています。

面接官の方は、ぜひ次の面接に臨む前に一度立ち止まり、面接の意義や、自らの面接官としての在り方をセルフチェックして欲しいです。
人事の方は、その機会を提供しサポートしていただきたいと考えています。
そして、本当の意味で自社採用の成功を達成されることを願っています。

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