
「また今月も中途採用者が辞めてしまった……」経営陣からのプレッシャー、現場の疲弊、積み重なる採用コストなど、中途採用の離職率に悩む人事担当者は少なくありません。
そこで本記事では、中途採用の離職に悩む人事担当者のため、以下を解説します。
適性検査やオンボーディング強化など、投資対効果の高い施策も解説します。
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中途採用者の離職率は、多くの企業が直面する深刻な経営課題であり、いかに低減させるかが重要な課題です。
この課題を乗り越えるため、まずは現在の市況を把握することが大切です。
ここからは採用市場の状況について、わかりやすく解説します。
厚生労働省が毎年実施している「雇用動向調査」は、中途採用者の離職率を把握する上で信頼性の高い公的データです。
「令和5年雇用動向調査」によると、2023年の全体の離職率は15.4%です。
そこで次は業種別・企業規模別の離職率を解説します。
業種による離職率の差は顕著です。
「令和5年雇用動向調査」によると、「生活関連サービス業、娯楽業」が28.1%、「宿泊業、飲食サービス業」が26.6%と高い数値を示します。
一方、「製造業」(9.7%)や「金融業、保険業」(10.5%)では相対的に低めです。
企業規模で見ると、従業員数30人未満の小規模企業では離職率が40%を超えるケースも珍しくなく、1,000人以上の企業では20%台前半に収まる傾向です。
これは、大企業のほうが研修制度やキャリアパスが整備されており、職場環境も安定していることが要因と考えられます。
中小企業では限られた人材で運営しているため、個々の従業員への負担が大きく、離職につながりやすい構造的な課題があります。
中途採用者の離職で特に深刻なのが、入社後まもなく発生する早期離職です。
新しい職場環境への適応や人間関係の構築がうまくいかないなど、入社後の早い段階でのつまずきが離職に直結するケースは少なくありません。
この早期離職は、企業にとって採用コスト(求人広告費、紹介手数料など)や教育コストの回収ができないまま人材を失うことを意味し、金銭的損失だけでなく、現場の負担増加や士気低下につながる可能性があります。
人事担当者が経営陣からプレッシャーを受けやすい問題も、この早期離職です。
自社の離職率を正確に把握することは、対策の第一歩です。
しかし、計算方法には複数の定義があり、どれを用いるかで数値も変わるため注意しましょう。
社内で基準を統一し、継続的に数値を追うことが大切です。
ここでは、離職率の計算式と、中途採用者に特化した場合の計算方法と注意点を解説します。
離職率を正確に算出し、公的なデータと比較するためには、厚生労働省「雇用動向調査」で用いられている以下の計算式を使いましょう。
離職率(%) = 期間中の離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 × 100
上記の計算により、異なる産業や企業規模での比較が可能です。
中途採用者に限定した離職率を分析する際は、新卒入社者と区別してデータを管理することが大切です。
まず、分子となる離職者は「中途採用で入社した従業員のみ」に限定します。
分母も同様に、中途採用者のみの在籍数としましょう。
また、定年退職や会社都合による退職(事業縮小など)を含めるかどうかは、分析の目的に応じて判断すべきです。
一般的には、自己都合退職のみを対象とすることで、企業側がコントロール可能な離職要因を明確にできます。
さらに、入社後の経過期間別(3ヵ月以内、1年以内、3年以内など)に離職率を算出することで、どの時期に離職が集中しているかを特定し、対策の優先順位を決定できます。
中途採用者が早期に離職してしまう背景には、さまざまな理由が存在します。
入社前の期待と現実のギャップが、退職の引き金になるケースは少なくありません。
離職の根本原因を特定することが、効果的な対策を講じる鍵となります。
そこで、離職理由として特に多い4つのミスマッチ(業務内容、人間関係、待遇、キャリア)について解説します。
中途採用者の離職理由として最も多いのが、業務内容のミスマッチです。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」では、転職入職者が前職を辞めた理由として「仕事の内容に興味を持てなかった」が男性で7.4%、女性で5.0%を占めています。
「Webディレクターとして採用されたのに、実際は営業ばかりだった」「営業職の募集だったが、配属されたのは事務作業中心の部署だった」といった、求人票や面接時の説明と実際の業務内容の乖離が典型的なケースです。
中途採用者は即戦力として期待されて入社するため、自身のスキルや経験が生かせない状況に強い不満を感じやすいです。
また、入社前の期待値が高いほど、現実とのギャップによる失望も大きくなり、早期離職につながりやすくなります。
企業側の採用プロセスにおける情報開示の不足や、現場との認識のズレが根本的な原因となっています。
人間関係や職場環境も、離職の主な要因です。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」では、「職場の人間関係が好ましくなかった」を理由に挙げた人は男性で9.1%、女性は13.0%でした。
中途採用者は既存のチームに後から参加する形になるため、すでに出来上がっている人間関係の中に溶け込むことに苦労するケースがあります。
「質問しても誰も答えてくれず、孤独を感じた」「中途だからという理由で放置され、居場所がなかった」という声は珍しくありません。
また、社内の独特な文化やコミュニケーションスタイルに馴染めず、疎外感を抱くこともあります。
上司や同僚との価値観の違い、パワーハラスメントやモラルハラスメントといったハラスメント問題も離職の要因となります。
組織としての受け入れ態勢が整っていないことが、この問題の本質です。
求人票に記載された労働条件と実際の待遇が異なることも、重大な離職要因です。
「8時間勤務と聞いていたが、実際は毎日早出とサービス残業が常だった」「年収◯◯万円と提示されたが、達成困難なノルマを前提とした歩合給だった」といった、労働時間や給与に関する認識のズレが代表的です。
また、休日日数、福利厚生、転勤の有無などについても、入社後に「聞いていた話と違う」と感じるケースがあります。
特に子育て世代にとっては、「入社10日目に、子育てとの両立は不可能だと悟った」というように、ワークライフバランスの問題が離職の主な理由となる可能性があります。
中途採用者の多くは、キャリアアップやスキル向上を目的に転職しています。
しかし、入社後に「この会社では自分の目指すキャリアを実現できない」と判断した場合、離職するかもしれません。
評価制度が不透明で昇進の見込みが立たない、研修や自己啓発の機会が提供されない、任される仕事が単調でスキルアップにつながらないといった状況は、特に優秀な人材ほど早期に見切りをつける原因となります。
また、業界全体の将来性や会社の経営状況に不安を感じ、より安定した環境や成長性のある企業への再転職を決断するケースもあるでしょう。
中途採用者の多くは、自身のキャリアに対して明確な目標を持っているため、それが実現できないと判断すれば、迷わず離職を選ぶ傾向があります。
レジェンダ担当者のコメント
高度専門人材の採用を支援していたIT系企業での経験から、中途採用における年収レンジの扱い方について、あらためて考えさせられる場面がありました。たとえばCFO候補という括りだけを見ても、共有される現年収は770万〜2400万円と大きな幅があります。職種名は同じでも、「安定運用を担う管理役」なのか、「成長を牽引する攻めの役割」なのかによって、期待される責任や意思決定の重さは大きく異なります。それにもかかわらず、役割の前提が十分に言語化されないまま年収レンジだけが提示されると、候補者と企業の認識は噛み合わないまま進んでしまう。現場支援を通じて、レンジ設計の曖昧さがミスマッチの温床になっていると感じる場面が増えています。
離職率を改善するためには、採用から定着までの一貫した取り組みが不可欠です。
採用段階でのミスマッチを防ぐと同時に、入社後のフォロー体制を整えることが重要です。
個々の施策を連動させることで、中途採用者の定着率は向上します。
ここでは離職率を下げるための具体的な6つの対策を、採用段階から入社後の環境整備まで解説します。
離職を防ぐ最も効果的な方法は、そもそも「辞めてしまう人」を採用しないことです。
そのためには、採用プロセスにおけるミスマッチの防止が不可欠です。
まず、求人票や面接での情報提供を徹底的に透明化します。
業務内容のよい面だけでなく、厳しい側面や課題も正直に伝えることで、入社後のギャップを最小限に抑えやすいです。
「実際の仕事はキツいが、頑張った分だけ評価する」といった率直な説明が、むしろ応募者の納得感を高めます。
また、適性検査ツールやリファレンスチェックサービスの活用も有効です。
これらのツールは、面接だけでは見抜けない候補者の性格特性や社風との相性を客観的に可視化し、採用判断の精度を向上させます。
適性検査やリファレンスチェックは、採用のミスマッチを防ぐ強力なツールです。
適性検査では、候補者のパーソナリティ、ストレス耐性、コミュニケーションスタイルなどを数値化し、自社の組織文化やチーム特性との相性を判断できます。
スキルや経験は履歴書や面接で確認できますが、「この人はウチの職場に馴染めるか」という重要な問いには、科学的なアプローチが必要です。
一方、リファレンスチェックは、前職の上司や同僚に候補者の勤務態度や人柄を確認するサービスで、面接では得られないリアルな評価を入手できます。
これらの情報を総合的に判断することで、採用の失敗確率を低減可能です。
コストはかかりますが、早期離職による損失(採用費、教育費、現場の負担)と比較すれば、十分に投資価値があります。
入社後の定着を左右するのが、オンボーディング(新入社員の受け入れと育成)プログラムです。
中途採用者の離職が多いのは入社後3ヵ月以内であり、この期間の支援が重要です。
効果的なオンボーディングに必要な項目は、以下をご覧ください。
メンターは業務指導だけでなく、社内の人間関係構築や文化への適応をサポートする役割を担います。
また入社後1週間、1ヵ月、3ヵ月といった節目での面談を通じて、困りごとや不安を早期に察知し、対処することが重要です。
「放置されている」と感じさせないことが、定着の鍵となります。
入社後の定期面談は、離職の兆候を早期に発見し、対策を講じるための重要な施策です。
入社1週間後には業務理解度や職場への適応状況を確認し、1ヵ月後には仕事の進め方や人間関係について深く聞き取ります。
3ヵ月後には、期待値と現実のギャップがないか、キャリアビジョンとの整合性はあるかを確認します。
この面談では、一方的な業務報告の場ではなく、社員の本音を引き出す「傾聴」の姿勢が重要です。
「何か困っていることはないか」「期待していた仕事ができているか」「会社や上司に改善してほしいことはあるか」といった質問で不満や悩みを早期に把握し、解決策を提示することで、離職を未然に防ぐことができます。
人間関係や職場環境の問題は、組織全体で取り組むべき課題です。
中途採用者がスムーズに職場に溶け込めるよう、既存社員への意識改革も必要です。
「新しいメンバーが入ったら積極的に声をかける」「わからないことを気軽に質問できる雰囲気を作る」といった、受け入れ側の態勢を整えることが重要といえます。
具体的には、ウェルカムランチやチームビルディング活動を通じて、自然な交流の機会を設けることが有効です。
また、オープンなコミュニケーションを促進するため、上司と部下の距離が近い組織文化を醸成したり、定期的な1on1ミーティングを制度化したりする企業も増えています。
中途採用者がモチベーションを維持し、長期的に活躍するためには、明確なキャリアパスと公正な評価制度が不可欠です。
入社時に、「3年後にはリーダー職、5年後には管理職を目指せる」といった具体的なキャリアビジョンを示すと、将来への期待感を持たせることができます。
また、評価基準を明確にし、定期的なフィードバックを通じて「何をすれば評価されるのか」を理解させることも重要です。
曖昧な評価制度は不信感を生み、優秀な人材ほど早期に見切りをつけて離職しやすいと考えられます。
昇給・昇進の仕組み、必要なスキルや実績、自己啓発の支援制度などを体系的に整備し、成長意欲のある中途採用者が長く働ける環境を構築することが、離職率低減の鍵となります。
レジェンダ担当者のコメント
中途採用支援を行う現場では、離職率の背景に「入社前後の期待値設計」のズレがある場面を繰り返し目にします。採用時に共有された役割やミッションが、入社後の業務や評価の場面でどのように判断されるのかが見えにくく、違和感を抱えたまま仕事を続けてしまうケースです。特に中途採用人材は、過去の成功体験を前提に動くため、組織側の期待や判断軸が見えない状態では力を発揮しづらい。オンボーディングとマネジメント、評価を分断せず、一連の設計として運用することが、結果的に離職率の低下につながると感じています。
離職率改善の施策は、自社の課題や業種に合わせて最適化することが求められます。
すでに具体的な取り組みで成果を出している企業も少なくありません。
他社の成功事例から、自社でも応用できるヒントを得ることは有効です。
そこで、どのような改善例があるのかを紹介します。
人材流動が激しい業界において、多くの企業が離職率の高さに直面しています。
こうした課題に対して、従業員一人ひとりのニーズに合わせた柔軟な働き方制度を導入する企業が増えています。
具体的には、在宅勤務制度やフレックスタイム制度、副業の容認など、従業員のワークスタイルに対応する制度設計などです。
特に重要なのは、これらの制度を経営層からのトップダウンではなく、従業員の声を反映させながら構築することです。
従業員が制度づくりに参画することで、自分たちのニーズが反映された施策となり、実行への主体性が生まれます。
このアプローチにより、制度の継続性が高まり、定着率の向上につながるという例があります。
新入社員の早期離職を防ぐ効果的な施策として、メンター制度の導入が注目されています。
この制度では、新入社員1名に対して先輩社員1名をメンターとして配置し、業務指導だけでなく、社内文化への適応や人間関係構築まで包括的にサポートします。
メンターに対しては、コーチングスキルや傾聴力を高めるための専門研修を実施することが重要です。
さらに、入社後の複数の節目で人事担当者による面談を実施し、メンター制度だけでは解決できない課題を組織全体でフォローする体制を整えることで、新人の不安軽減と定着率向上につながります。
中途採用者の離職率について、人事担当者からは多くの実務的な質問が寄せられます。
自社の状況を客観的に評価し、何から手をつけるべきか悩むことも多いでしょう。
ここでは、中途採用者の離職率に関してよくある質問と、それに対する回答をまとめました。
高い企業の特徴や、改善の第一歩、コストをかけない対策など、具体的な疑問にお答えします。
離職率が高い企業には、いくつかの共通した特徴があります。
まず、採用段階での情報開示が不十分で、入社後に「聞いていた話と違う」というギャップが生じやすい企業です。
また、評価制度が不透明で、頑張っても報われない環境も離職率を高める理由と考えられます。
人間関係の問題、特にハラスメントの放置や風通しの悪い組織文化も要因です。
さらに、中途採用者を「即戦力」としてのみ扱い、育成や支援を怠る企業も定着率が低くなります。
業種的には、労働集約型で長時間労働が常態化している業界や、賃金水準の低い業界で離職率が高い傾向があります。
離職率改善の第一歩は、現状の正確な把握です。
まず、自社の離職率を正確に計算し、厚生労働省のデータや同業他社と比較して、自社の位置を確認します。
次に、退職者へのヒアリングやアンケートを通じて、離職の真の理由を特定します。
多くの場合、表向きの理由(一身上の都合など)と本音は異なるため、本音を引き出す工夫が必要です。
原因が特定できたら、最も影響の大きい課題から優先的に対策を講じます。
例えば、業務内容のミスマッチが主因なら採用プロセスの改善を、人間関係の問題なら職場環境の改善を最優先します。
離職率の妥当な目標値は、業種や企業規模によって異なりますが、一般的には10〜15%程度が健全な範囲の目安です。
ただし、成長業界や転職が活発な業界では20%程度でも許容範囲内と考えられます。
重要なのは、絶対値よりも「早期離職(1年以内)」の割合です。
3〜5年の勤続後の離職は、キャリアアップのための自然な流れともいえますが、1年以内の離職は明らかに採用や定着施策の失敗を示しています。
まずは、業界平均を把握した上で、それを下回ることを目標とし、段階的に改善を進めることが現実的です。
予算が限られている中小企業でも実施可能な対策は多数あります。
最も効果的で費用のかからない施策は、定期的な面談です。
社長や人事担当者が直接、中途採用者と対話し、悩みや不満を早期に把握して対処することで、離職を防げます。
また、採用段階での情報開示の徹底も、コストゼロでの実施が可能です。
求人票や面接で、仕事の厳しい面も正直に伝え、期待値を適切に設定することで、入社後のギャップを最小化できます。
社内での歓迎の雰囲気づくりも重要です。
ウェルカムランチやチームでの自己紹介の機会を設けるだけで、中途採用者の孤立感を大きく軽減できます。
中途採用者の離職率は、多くの企業にとって深刻な経営課題です。
平均30%を超える離職率は、採用コスト、教育投資、現場の負担という三重の損失をもたらします。しかし、この問題は適切な対策によって確実に改善できます。
重要なのは、採用段階でのミスマッチ防止、入社後の手厚いオンボーディング、継続的なフィードバックという一貫した取り組みです。
離職の原因を正確に把握し、自社の課題に合わせた施策を優先順位をつけて実行することで、定着率を大幅に向上させることが可能です。
人材の定着は、組織の安定と成長の基盤となります。
中途採用の離職率について、お悩みのことがあればお問合せからお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
金濵 祐香子
採用支援事業部
■経歴
通信・IT・メーカー・製造・小売など、さまざまな業界のクライアントを担当し、新卒・中途採用の支援をPMとして推進。常駐・遠隔の両形態で支援を行い、リクルーター・面接官・バックオフィス統括等の役割を担いながら、選考設計から運用まで一貫して支援している。

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