第0章 採用力とはなにか
最終更新日:2025年12月24日
国内最大規模の独立系RPOの
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コーポレーション”
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企業が成長しようとするとき、必ずと言っていいほど立ちはだかる壁がある。それが「採用の壁」である。
どれだけ魅力的な事業ビジョンを掲げ、どれだけ資本を調達し、どれだけ市場から評価されていたとしても、適切な人材を採用できなければ、企業の成長は鈍化し、やがて停滞する。
つまり「いい人材を採用できるかどうか」は企業の競争力そのものを左右する経営課題であり、事業成長を志向する企業ほど、この壁に真正面から向き合うための「採用力」の強化に迫られる。
採用人数が年間数名であれば、担当者の経験や属人的な工夫、あるいは“熱量”に頼る形でも、何とか乗り切れる。しかし、年間20名、30名、あるいは100名単位となると、採用の難易度は飛躍的に跳ね上がる。
なぜなら、採用の難しさは「数」だけで決まるものではないからだ。企業が属する業界の競争環境、採用する職種の市場希少性、新卒かキャリア採用か、選考フローの複雑さ、関わる社内外ステークホルダーの多さ──これらが複雑に絡み合うことで、“採用という企業活動”は一気に高度な統制を必要とするプロセスへと変貌する。
レジェンダは創業以来30年、こうした採用の難所に向き合い、企業ごとの課題に寄り添いながら支援を続けてきた。「採用力が不足しているからうまくいかない」ではなく、「どうすれば採用力を高められるか」に愚直に取り組み続けてきた歴史とも言える。
とりわけ「成長を志向する企業」ほど、時に“自社の現在の身丈を超える人材”をあえて採用しようとする。これは企業が自らの未来を引き上げるための挑戦であり、その価値をもっとも理解しているのは経営者である。だからこそ、成長企業の採用力強化は総じて難しく、同時に取り組む意義が大きい。
しかし、この「採用力」という言葉は、その重要性に反して極めて曖昧に扱われやすい。
感覚的に「採れる/採れない」と語られがちだが、実際には採用力は構造化できる概念であり、複数の要素から成り立っている。
採用活動を正しく進めるための“設計図”をつくる工程である。
採用活動の全体戦略、ゴール設定、競争環境の分析、採用数計画、活動予算などを決める。
どんな人材が必要で、どんな力を持ち、どんな価値基準で動く人かを言語化する。
選考プロセスをどう設計するか、どの段階で何を見極めるか、候補者にどのような体験を届けるかを決める。
企業の公式Webサイト、採用LP、説明会コンテンツなど、候補者に自社の魅力を伝えるための設計。
採用は人事だけでは完結しない。経営~事業部門~人事部門~面接官など社内全体の協力体制を整える。
ここまでの設計が曖昧だと、その後の採用活動は必ずどこかで破綻する。
逆に、設計がしっかりしていれば、難易度の高い採用でも成果を出しやすくなる。
上流工程で描いた“設計図”を、実際の採用活動として実装するための技術である。
計画どおりに進めるための進捗管理、関係者調整、期限管理などの運用技術。
候補者との関係性構築、内定辞退防止、入社後の立ち上がり支援。
そして、上流工程と下流行程を一気通貫で下支えするのが「全体基盤」と考える機能である。
候補者データ、進捗データ、KPIの正確な記録と活用。ATSの設計品質で大きく差が出る。
歩留まり、通過率、辞退理由などを分析し、改善につなげる。

こうして見ると、採用力は単なる一要素ではなく、
「設計(上流)」「実行(下流)」「改善(全体に通底)」の掛け合わせ
として成立していることが分かる。
企業の採用力が弱いとき、問題の多くはこの構造のどこかが欠けているか、あるいは連動していないことに起因する。
特に、本記事が焦点をあてるのは下流工程の中でも、
「変化に対応しながら成果を確実に取りにいく技術」=プロセスマネジメント
である。
なぜプロセスマネジメントに光を当てるのか。
それは、上流工程でどれだけ美しい設計図を描いても、実行フェーズでの“変化”に耐えられなければ結果は出ないからだ。
採用は、設備投資や製品開発と違い、常に“人”を相手にして進んでいき、その“人”を取り巻く環境(就職市場や社内状況)も絶えず変動している。
つまり、採用は「動くターゲット × 動く市場 × 動く社内」
という三重の変数の中で行う、極めて不安定な活動である。
だからこそ、計画管理(プロジェクトマネジメント)だけでは十分ではなく、
“変化に対応しながら採り切る”ための技術体系 が必要となる。
これこそがプロセスマネジメントであり、本記事が深く取り扱うテーマである。
ここまで見てきたように、採用は多くの要素が複雑に絡み合った総合格闘技である。
その中で、もっとも誤解されやすいのが「採用はプロジェクトである」という表現だ。
確かに採用活動には期限があり、ゴールがあり、関係者がいる。
だからこそプロジェクトマネジメントの対象として語られることが多い。
しかし──
次章では、この本質的な矛盾に踏み込み、
「採用活動はなぜプロジェクトと呼ばれるのか」
そして
「それだけではなぜ不十分なのか」
を明らかにしていく。
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