
2025年11月26日、レジェンダ・コーポレーション株式会社主催の人事交流会をオフラインにて開催しました。今回のテーマは中途採用における「オンボーディング」。採用市場が売り手優位で推移するなか、「採用できても定着しない」「受け入れが現場任せになっている」といった課題意識を持つ企業人事の皆さまにお集まりいただき、最新動向の共有と、明日からの実務に生かせる視点の整理を行いました。

当日は、次のようなお悩みをお持ちの方々にご参加いただきました。
・ 採用・定着に課題がある
中途採用者の早期離職に悩んでいる/オンボーディングを一から構築したい/採用コストの無駄を減らしROIを改善したい
・ 現場との連携に悩んでいる
「即戦力だから大丈夫」と現場任せになっている/入社後フォロー体制を組織全体で整えたい
交流パートでは、「制度はあるが運用がばらつく」「受け入れ側の準備が間に合わない」「部門ごとに対応が違い、入社体験が不均一になる」といった声が多く、オンボーディングが“人事だけのテーマではなく全社課題”として再認識される機会となりました。

当日は採用コンサルタントの川端より、まず2025年の最新データを踏まえ、採用・定着を取り巻く環境の変化が共有されました。
転職求人倍率は2.42倍。1人の求職者に対して2件以上の求人が存在する売り手市場です。加えて人手不足倒産は2025年度上半期だけで214件と過去最多を更新。完全失業率は2.3%と低水準で、企業の51.4%が正社員不足を感じている状況も示されました。さらに推計では、労働力不足は2025年に約583万人、2030年には644万人に達する見込みとも共有され、「人材の確保と定着は生存戦略そのもの」という問題提起が行われました。中途採用を通じた人材確保は今後ますます激戦となります。では、どうしたらよいのかを考えていきます。
中途採用で得られる価値は大きく、次の3点に整理しました。
一方で、価値が高い分、定着に失敗したときの損失は大きくなります。ここから議論は「中途採用者の早期離職」という現実に踏み込みました。
共有されたデータでは、中途入社者の1年以内離職率は約30%。企業が「早期」と捉える平均離職時期は9.6ヶ月で、1年未満で退職するケースが多いことが示されました。さらに入社2年以内の退職割合は約42%にのぼります。
企業側の損失は、採用・教育・再採用などを含め、1人あたり平均450万〜750万円規模になるとも説明されました。加えて、プロジェクト遅延、チーム士気低下、顧客対応の品質低下など、組織全体へ影響が波及する点も見逃せません。
早期離職の主因としては、
が挙げられ、「辞める理由」以前に「辞めたくなる状況」が生まれてしまうことが強調されました。

オンボーディングとは、新しく加わった人材が職場に早く慣れ、定着し、力を発揮できる状態をつくる取り組みです。川端は飛行機に例え、「採用は離陸に過ぎず、安定飛行に至るまでのプロセスがオンボーディング」と説明しました。
特に中途入社者は、新卒と状況が大きく異なります。新卒は同期と一緒にスタートし、導入研修が整っており、周囲も“できない前提”で支援しやすい。一方の中途入社者は同期がいないことも多く、「早く結果を出さなければ」とプレッシャーを抱えがちです。しかし受け入れ側は「即戦力だから教えなくても大丈夫」となりやすく、このギャップが早期離職の引き金になります。
採用時には、企業側は「経験を生かしてほしい」「あなたの力が必要だ」と期待を伝え、本人も「期待に応えたい」と意気込んで入社します。ところが入社後、現場では「あたりまえができない」「即戦力なのに…」と見られ、本人も「聞いていた話と違う」「言いづらい」と不安が増幅。結果としてパフォーマンスが落ち、悪循環が生まれてしまいます。
この根本には、入社者・受け入れ側双方の“バイアス(思い込み)”があります。
期待が一致しているようで、実は「前提合わせ」「学び直しの支援」が抜け落ちている。この認識ギャップを埋めることがオンボーディングの第一歩だと共有されました。
重要概念として提示されたのが「アンラーニング」です。アンラーニングとは、これまでの成功体験や価値観を一度手放し、新しい環境に適応するために再学習すること。職場文化や業務手法、人間関係の作り方は企業ごとに異なるため、前職の“当たり前”をそのまま持ち込むと齟齬が起きやすくなります。
プロセスは3ステップです。
受け入れ側は価値観を明示し「なぜそうするのか」を説明すること、失敗を許容する文化をつくることが重要。入社者側は謙虚に学び、質問を増やし、違いを言語化する姿勢が鍵になるとまとめられました。

成功するオンボーディングは「3つのなじむ」を意識して設計することが重要だと整理されました。
この枠組みでオンボーディングを行うことで、早期離職率の低減や戦力化の前倒し、帰属意識の向上が期待できる、という見立ても共有されました。
レジェンダのオンボーディングサービスは、甲南大学・尾形真実哉教授監修の「組織になじませる力」理論を実務に応用したプログラムとして紹介されました。支援は以下の4フェーズで一貫して進めます。
提案としては、
が提示され、初期不安の低減、定着率向上、社内エンゲージメント改善につながることが示されました。
採用難が続くいま、「採用」だけでは競争力になりません。中途入社者が安心して学び直し、早期に活躍できる環境を“仕組み”として整えることが、組織の安定運行と事業成長を支える基盤になります。今回の交流会が、各社のオンボーディングを見直し、人事と現場が連携して改善を進めるきっかけとなれば幸いです。
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