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想い切りトーク Vol.028 中編

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カオスを楽しむマインドセットで
大胆に課題解決に挑む

取材日: 2019/08/27

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MISSION事業成長を加速するために、個人と組織の両方のWIN‐WINを最大化する

木下 達夫

北澤
企業独特の価値観があると思いますが、そういったものがすでにできていますか?
木下

創業7年目ですので、今作っている最中ですね。社員の約半分が入社1年未満というところで、それぞれが結構いろいろな経験を持って集まってきています。そういう意味で「この会社はこうでなければならない」という部分は薄いと思います。ただ一方で、創業してすぐミッション・バリューというものを作って、それにすごくこだわりを持っています。バリューの浸透度が高くて、それは素晴らしいですよ。

北澤
それは創業者の山田進太郎さんはじめ経営陣がこだわったということですか?
木下

取締役の小泉が前職のmixi時代の経験から、「この会社のカルチャーが好き」「この会社のカルチャーに共感する」「価値観に合うからここで長く働きたい」と思ってもらう組織を作りたいと考え、メルカリのミッションと3つのバリューを創業してすぐに作ったのです。そのひとつ目が「Go Bold-大胆にやろう」。2つ目が「All for One-全ては成功のために」。最後は「Be a Pro-プロフェッショナルであれ」。プロとして1人1人が自立して専門性を持って貢献しましょうと。

北澤
そのミッションやバリューを具現化するための人事制度は何かありますか?
木下

はい。採用基準も評価も全部このバリューに紐づいています。四半期毎の評価プロセスにおいては自分がこの三ヶ月間やってきたことを振り返って、どの点がGo Boldだったか、逆にGo Boldじゃなかったと思うことは何か。All for Oneは?Be a Proは?というのを自分で振り返って書くということを個人がまずやっています。

その上で、マネージャーが「ここはもっとGo Boldできた」「ここはまだまだAll for Oneではなかった」など、バリューを用いてフィードバックし、行動を強化しています。Go Bold賞、All for One賞などがあります。3つのバリューのうち、メルカリらしさってなんですか?と言えば、一番はGo Boldだと思いますね。

北澤
御社は社員を“プロフェッショナル”と言っているわけですから、日本的な終身雇用ではなく、新しい制度を入れているのですか?
木下

事業成長を加速させるために、個人と組織の両方がWIN-WINを最大化することを人事のミッションとして掲げています。この背景にあるのは「対等」という関係です。人事は、個人と組織の両方をWINさせたい。わかりやすい例でいうと、「副業ポリシー」です。

Be a Proの文脈でいうと、副業ができるということは、他の会社でも価値がある人だと評価できます。副業することで常に自分の市場価値をチェックできますし、他の会社に関わることで視野が広がります。「副業先でこんなことをやりました」もしくは「こんな新しいプラクティスがある」と、メルカリにどんどん持ってきてそれらを注入してほしい。それが副業を認めている背景です。

一方で、マネージャーから「副業なんてしたら本業のパフォーマンスが落ちないの?」という懸念はあります。そこは会社のWINも大事にするために、四半期に一回パフォーマンスレビューを回しています。本業でもパフォーマンスを発揮し、副業でも貢献できる。それぐらいの人物がメルカリの社員であるべきという、ものすごく高い期待を持っているんですよ。

北澤
そういう面では、働き方改革の必要がありませんね。
木下

「働き方改革」という言葉はこの会社にはないです。創業以来使ったことがありません。むしろ、どれだけもっとGo Boldになるかが大事なのです。それでGo Boldキャンプをやるとか、Go Boldになるために今後の新規事業をお互いにプレゼンしあうなどしています。それこそ、ハックウィークをやったり、Go Bold Dayというのをやったりもしますね。

北澤
根本的なコンピテンシーをあげるために、やっていることはありますか?
木下

メルカリの考え方として、人を育てるのは圧倒的にアサインメントだというふうに捉えています。もちろん、プログラミング言語の研修、英語研修といったスキルベースのものもありますが、それはあくまでツールに過ぎません。アサインメントをおもしろく、エキサイティングに実現できるかというところで始めたのが、人材開発会議です。これは、組織のトップ20~30人をキータレントとして可視化して、この人たちを2、3年かけて成長を加速させるためにどんなアサインメントをやっていけばいいかを話し合う会議です。

新規事業に入れるとか、新しい技術課題に取り組んでもらうとか、いろいろな可能性があります。それを個別のケースで経営陣やリーダーシップチームが話し合いでやっていくのです。
人材育成について経営陣はものすごくコミットしていますね。組織開発人材育成チーム(OTD)を作ったのもその表れです。

北澤
信頼関係やプロ意識というのは、外国の方は当然そうだと思います。しかし、日本人は、安心をベースに会社にいることが成り立っているというカルチャーでずっときている人もいますよね。
木下

メルカリのカルチャーの土台にあるものは「Trust & Openness」です。Trustしているから思い切って任せられる。Openなので情報が開示され、共有されている。経営レベルの情報にもアクセスできます。だからこそ、大胆な手を各メンバーが打てるのです。自走、自立のベースには「Trust & Openness」が必須だと思います。

Trust & Opennessを担保するために、いかに心理的安全性をつくるかというところがすごく重要です。メルカリはすごく組織がフラットなので、経営陣と社員の距離が近いのです。だんだん組織は大きくなっていますが、それでもやはり他の会社よりは近いと思っています。例えばGo Boldにもミスはあります。しかし、失敗するくらいじゃないと挑戦する意味はありません。

例えば、私がありがたいと思ったのが、経営陣に人事に関する提案持っていったときに、「イチローでいいですから」と言われたことです。「イチローって何ですか?」と聞くと、「イチローは3割バッターです。3割でもすごいんです」と。つまり7割の提案は却下されますが、どんどんGo Boldに人事の変革を仕掛けていって欲しいというわけです。私も人事のメンバーに、そういう期待値だからどんどん持っていこうと話しています。この会社なら積極的に新しい案を持っていって、却下されても批判されない、Go Boldに大胆にやろうというバリューが徹底され、失敗から学ぶ姿勢が奨励されていることが、心理的な安全性につながっていると思います。

北澤
日本の企業だと、入ったらともかく給料はもらえる、みたいなところがありますが、そういう安全性ではないと。
木下

はい、多様な人材がお互いを尊重しながら自分の意見をオープンに議論できるカルチャーを大事にしています。
メルカリにはペイフォーパフォーマンスの原則に基づいて、具体的なフィードバックを通じて、バリューの実践を促し、成長を促進することを目的とした評価報酬制度があります。四半期ごとに評価サイクルを回しているのですが、評価プロセスにおいて同じチームのメンバーや他部署の仕事仲間から良かったこと、改善すべきことについてフィードバックをする仕組みがあります。心理的安全性と信頼関係が前提にあるからこそだと思いますが、結構皆さん改善すべきことも率直に書いています。これはマネージャーが言う以上のパワーや効果があります。

また最近では5段階評価(レイティング)を入れました。GEを含めレイティングをやめるという会社が世界的に増えていますが、当社では意思を持って導入しました。その背景は「期待に達していたか、達していなかったか」そのシンプルなメッセージを明確にするためです。マネージャーが伝えているつもりでも、人材の多様化が進む中で、言語や文化の違いがあり十分に伝わっていない例があることが課題でした。レイティングを使うことで、期待に達していたかそうでないかをわかりやすくなったとポジティブな反応が多く導入してよかったと思います。

北澤
組織が急激に大きくなっていく過程において、人事として有効な打ち手、今後の取組みについて聞かせてください。
木下

今年5月にメルカリの組織や人材、メルカリらしい働き方に関する考え方をまとめた「Mercari Culture Doc」をリリースして全社員に共有しました。経営陣と人事で何度も議論を重ねて作ったもので、採用基準や、評価報酬や人材開発、オフィス環境など12の章で構成されたものです。ガイドラインを明文化し共有することで、組織規模が拡大しても一人ひとりがバリューに沿った判断や行動を実践することが出来て、ひいては事業や企業の成長を後押しするものと位置付けています。入社時のオリエンテーションでも紹介しており、新入社員にとっても有意義な内容になっています。

また今年から候補者体験CX(Candidate Experience)と従業員体験EX(Employee Experience)の向上に取り組んでいます。まずCXですが、採用力強化に引き続きチャレンジしています。採用は事業の成長戦略と連動していますし、エンジニアのリソースがあるからこそお客さまに価値を提供できる次のサービスが作れます。常に優秀なエンジニアの方が入社するような採用プロセスにしたいと思っています。その上でCXは、応募からオファーまでの時間がいかに短いか、オンボーディングの中の体験で当社のファンになって頂くことを目指し、最終的に入社するときのミスマッチがない状態を作るかというところが大きな課題のひとつです。

次に入社してからのEXでは、入社後のオンボーディング、入社研修、目標設定、評価、報酬など、現在使っている人事システムをアップデートする必要があります。そこで、プロジェクトチームを立ち上げ、様々な改善案を検討し、すぐに実施できることから始めています。

一方で、組織診断サーベイは、去年の12月から始めています。組織のコンディションとして、どこに負荷がかかっていて、どこにストレスがあるか。社員がどれくらい会社を知人に勧めたいかというeNPSもみています。さらにHRBPが部門の部門長やマネージャーと一体となって組織をよりよくする、PDCAを回すということをやっています。これをクローズドループと言っていますが、ここをいかに目に見える成果につなげるかが今の挑戦ですね。

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