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全国の人事パーソンへのメッセージ

人事部長の想い切りトーク

Vol005想い切りトーク

「世界で人が一番活かされている組織」を目指す

取材日: 2015年7月17日

  • 株式会社リクルートキャリア
  • コーポレートスピリット推進部 部長
  • 木村樹紀氏

※会社名・役職等は取材当時の名称を掲載しております。

リクルートグループの中核企業として「リクナビ」「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」などの人材に関する多彩なサービスを提供する、株式会社リクルートキャリア。人材業界をリードする企業の人材採用担当責任者として、先進的な視野から人材の発掘と育成に取り組む、コーポレートスピリット推進部部長の木村樹紀氏が“世界で人が一番活かされている組織”実現へのビジョンをメッセージする。

PROFILE若手リクルーターの言葉に「心が震えた」。

「自分のことを誰よりもわかってくれたと感じたんです。この人達は、僕の個性や可能性を自分以上に理解してくれて、本気で「一緒にやろう」と言ってくれていると。 “一緒に成長して、世界に羽ばたこう”という言葉に、心が震えました。リクルートに賭けてみようと決めました」。

1989年、木村樹紀氏は、当時世を賑わせていたリクルートに、家族の反対を押し切って入社する。

人材開発部に配属された木村氏は、新卒採用を担当し160名の新卒新入社員の中で初代MVPに輝き、その後もMVPを獲り続ける。『優秀な人材の採用がリクルートの未来を決める』その思いで、自分よりも優秀な人材を発掘し、その人と向き合い、当時の状況の中で“身の丈以上”とも思える採用を実践していった。その仕事ぶりは「士は己を知る者のために死す」の故事を彷彿とさせた。

採用を皮切りに異動・昇進・昇格・評価、育成、人事制度と人事全般を担った後、広報のキャリアを重ね、2006年、当時社会問題化していたフリーターを正社員にするための事業「就職Shop」を事業化する。しかし、役員たちからは、採算の合わない事業をなぜやるのかと詰問された。

「人材ビジネスNo.1企業である我々がこの社会問題に取り組まなかったら、どこがやるんですか、これはリクルートの社会的使命であり、必ず利益を出すから信じてくださいと、最後は思いだけで通した事業でした。5年もかかってしまいましたが、この領域に僕らが参画して、収益性が実証されると他社が参入してくる。そういう会社が増えることでフリーター問題が解決すると信じてやってきて、今そうなりつつあります。」

自分自身が心の底から思う事に従い行動する、リクルートの“FOLLOW YOUR HEART ”のスピリット。それを全力で体現していくのが木村流であり、リクルート流である。就職Shop事業は10年目を迎え、木村氏は現在も責任者として関与している。

2013年、木村氏はリクルートグループの社員採用領域事業を担うリクルートキャリアの採用面と、広報面の強化を一任される。部署名の「コーポレートスピリット推進部」は自ら命名した。スピリットとは目に見えない価値。「我々は誰と働くか、という未来を創る重要テーマを扱い、人が一番大事だと信じている」その大切なリクルートのスピリットを浸透させ、先頭に立って推進していく決意を現している。

MISSION 本気で自分探しをする人が集まる場を創っていく。

人材ビジネスのフロンティアとして認知されるリクルートキャリアには、採用戦略においても、時代を牽引する先進性とリーダーシップが期待されている。

木村氏は採用コンセプトを「発掘力」と「磨く力」と定め、人材を発掘するために、様々な仕組みを仕掛ける。しかし、注目したいのは、それらが、社会起点で考えられ、リクルートキャリアという企業の機能を超えて取り組まれているということだ。

1536名の大学生が参加した、イベント「ROOTS」では、大学生が自分自身と向き合うことを目的に、リクルートキャリアの約1000人もの社員が、大学生1人1人と「働く」事に対する夢や想いについて語る。

新興国という非日常空間に身を置きながら就業体験を積むことができるインターンシッププログラム「GLIP」では、自分自身と向き合い、本気で成長する覚悟と挑戦心をもった学生のリーダーシップを養成する。

「これらを通じて、自分の生き様、生きていく方向性を見つけて欲しい。本気で自分に向き合い、自分軸を確立し、選択し、自分の人生を歩んでほしいと願っている。そんな自分を創る場を設けることに、全社を挙げて挑んでいるんです。

学生たちも、(今の就職活動は)どこかで違うと思っている。己と向き合って話せる場をつくって、己の心に従って企業を選ぶようにいざなう。新卒採用本選考時も、僕らはエントリーされた学生と向き合うために、全社員を動員します。」

「もともとリクルートの財産は人しかない。“君はどうするんだ”と常に生き様を問い続け、それが“世の中をどうするか”という問いにつながり、そこからたくさんの事業が生まれました。そうやって、リクルートの価値を創ってきたんです。僕は、この組織風土こそが、これからの時代の武器になると考えています。」

MESSAGE 1人1人の内的成長が組織を創る

「リクルートはもともと「適合すること」に長けた人材ではなく、「自走できる(自ら考え行動していく)」人材を採用してきました。実際に、これだけ変化が激しい世の中になると、社会、組織、人からの期待に合わせて、外的スキルを身につけていくだけの対応力では、通用しなくなってきています。」

これからは、内省力を高めることが大事であるという。

「今の日本社会の中で、ポテンシャリティは持っているけれど発露できていない強烈なエネルギー量を持つ、馬力のある人材をいかに発掘して、その人間の内発的な創造性を高め、イノベーショナルな人材に仕立てていけるかが勝負だと思っています。

内省力、それは人間力の根本となる内なる自分を観る力、成長には不可欠です。誰も正解がわからないこれからの世界では、過去の成功体験は通用せず、過去を分析して、そこを土台にしても“非連続な成長”は生まれない。内省力によって自己のパターンを自覚し、答えのでない問いを探究し、新しいパターンを選択することで自分が望む現実を創りだす。そういった力が必要になっています。」

なによりも、自分自身を信じる「自己信頼力」をどれだけ持てるか。自身の潜在的な能力への信頼が、他の人の能力への信頼につながり、組織全体の可能性を開いていくと木村氏は考える。

「自分に不足しているものを外的成長で満たしていくという考えは、過去の世界を生き抜く上で必要だったのかもしれません。リクルートキャリアでは、各々の持ち味(本来備えている能力・才能)を自覚し、そのまま活かし、磨きをかけることで自分の影響力を高め、自分の望む現実を創りだしていって欲しい。

それを僕は、1人1人の内的成長と呼んでいるのですが、パフォーマンスを高める外的成長(専門性・スキル)に加え、内省力を高めて内発的創造性に繋がることで、イノベーティブな個人、さらにイノベーティブな組織が出来上がるんです。

そういった人材が活躍できるように、組織をあるべき方向に先導していくのが、大切な人的資本を預かる人事の役割だと思っています」。

日本の人材業界をリードする企業の人材採用担当責任者が目指すのは“世界で人が一番活かされている組織”である。

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