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労務コラムなぜアウトソーシングを活かしきれないのか? 人事がコア業務にシフトする秘訣と成功例

(日本の人事部 HRカンファレンス 2019.5.14 講演要旨)

働き方そのものが変わる時代。求められる人事の役割とは?

元号が平成から令和に変わり、初めてのことで多くの混乱が予想された10連休も無事に終わりました。労務に携わっている皆様は、ゴールデンウィーク明けの勤怠締めや給与計算の処理期間の短さなどに大分気を揉まれたのではないかと思います。また、この4月に働き方改革法案が施行となり、我々を取り巻く労働環境における法改正環境の変化は激しくなっています。その背景として、働き方そのものが変わっていく時代に入っています。新卒一括採用の崩壊、外国人労働者の受け入れ、デジタルマネーの普及など、世の中全体で働き方が今後大きく変化していくことになるでしょう。

今回の講演では「なぜアウトソーシングを活かしきれないのか?」というテーマで、人事がコア業務にシフトするための秘訣と成功例についてお話をさせていただきたます。

コア業務とアウトソース化

本来、人事の目的は経営目標達成のための人的経営資源の最大活用にあります。人事には労務、教育研修、育成、採用、戦略人事などいろいろな役割がありますが、最終的に人的資源の最大活用につながらない限りは、経営目標を達成できないことになります。しかしながら、人事の難しいところは人を扱う仕事であるということです。ある程度のセオリーはあるにしても、PDCAのサイクルを実際に回してみて始めて、その人事施策の効果があったかがわかるところにあります。

一方で、人事業務の約8割は事務処理を中心としたルーチン業務です。この8割の仕事をどう削減するかあるいは自分たちで実施するかを考えた時に、選択肢の一つとしてアウトソーサーに委託することを考えている方も多いのではないでしょうか。我々が実際にお客様とお話をさせていただく中で、アウトソーシングで実現できることを整理いたしました。

まず、アウトソーシングを行うことで労務担当者の業務の負荷分散につながります。どの業務をアウトソースするかを考える上では、業務の可視化・効率化はかかせません。自社内で業務を回し続けた際に起こる属人化や引継ぎなどのスイッチングコストはアウトソーサーに業務を任せることで発生しなくなります。人事はルーチン業務が減ることにより、コア業務にかけるパワーを増やすことができます。アウトソーサーは原則業務量に応じた従量課金制のため、アウトソーサーに業務を渡すことは、間接部門にかかっている固定費を変動費化することにもつながります。

一方で、皆さんがアウトソーシング導入に一番期待されているコスト削減については、実現のハードルが非常に高いといわざるを得ません。理由として、業務量を変えずにアウトソーサーにそのまま業務を委託しても、業務内容が変わらなければコストは安くなりません。アウトソーサーは他社の様々な業務を集約して行うため、コストメリットが出るはずと考える方もいらっしゃると思いますが、それは幻想です。業態が違えば、給与計算の仕方、シフト勤務の仕方など一つ一つの会社でやっていることは全く異なるからです。

もう一つの理由は、人事業務はロングテールであるからです。人事業務において日々発生する業務は、量で見ると全体の約8割を占めますが、種類で見ると全体の2割ぐらいにしかなりません。むしろ半年や1年に1回しか発生しない業務が種類としては全体の約8割を占めます。この多種類かつ頻度の少ない業務をどうするかという話になるのですが、正直にお伝えしますと、これらの業務は自社でやろうがアウトソーサーでやろうがコスト高になる業務といえます。

皆様がアウトソーシングを検討されるきっかけとして、例えば担当者の急な退職、人事システムの老朽化、経営からの間接部門のコスト削減要求など、外的要因もあれば必然的な要因もあるかと思います。人事の目的は、経営の目標達成のための人的資源の最適化を行うことです。事務処理の問題にフォーカスをあててしまうと、経営側の理解がなかなか得られないという事態に陥ることになります。

3つのプロセス別のポイント

アウトソーシング化のステップには、企画フェーズ、BPR/導入フェーズ、運用改善フェーズと3つあります。それぞれのステップ別に問題点と解決策をご紹介します。

企画フェーズにおける問題点の一つに、『業務を丸々引き継いで欲しいがコストメリットが見出せない』ことがあります。コストを削減するための解決策は、業務のBPRを行う以外にはあり得ません。また、BPRを行う際、課題を明確化した上で迅速に行っていくことが重要です。弊社ではQuickBPRという現状の業務分析から新しい業務を決めるまでのフローを独自のメソッドを利用し、迅速に提供するサービスを行っています。

導入フェーズで頻繁に起こる問題点が、『スケジュールが思ったように捗らない』ことです。この問題点に対する解決策の一つはプロジェクトマネージャーを調達することです。プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体の課題、進捗、予算、リスクなどを管理しながら、発生する様々な問題に対し舵取りを行う役割を担います。ただし、プロジェクトマネージャーを人事部内でアサインすることは難しいケースが多いのではないかと思います。そのため、プロジェクトマネージャーはアウトソーサー側でも準備をさせていただいています。弊社が対応する案件では、必ずプロジェクトマネージャーがついて対応を行います。

運用フェーズにおける問題点には、『アウトソーシングを導入したものの品質が安定せず、ミスばかり起きる』ことがあります。原因として、実は業務が最初からきちんと決まっていなかったということがあります。しっかりと業務の見直しを行っていただく必要があるといえるでしょう。

アウトソーシング化がうまくいかないケースでよくお聞きするのが、システムを先に決めてしまうケースです。そもそも、業務をどうしたいか決めるのに、ツールであるシステムに合わせて業務を組み立てようとするのは本末転倒であると我々は考えています。

「第二人事部」でベストなアウトソーシング化の実現を

弊社では、「第二人事部」としてお客様の人事部に並走する専任のプロジェクトチームを作り、お客様の対応を行っています。「第二人事部」は皆様のエージェントとして、事務作業だけではないバリューを提供する真のパートナーを目指しています。弊社のアウトソーシングは、お客様専属のプロジェクトマネージャーを中心として、経験豊富なコンサルタントや人事業務に精通したスペシャリスト、自社開発の統合人事システムEHRを提供しています。皆様には、是非「第二人事部」を活用し、戦略人事に移っていただきたい。我々は人事業務で得たナレッジやデータを分析し、皆様にバリューアップしていただくためのお手伝いを今後もしてまいります。

ご質問、ご感想などございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

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