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労務コラム人事DXのカギを解説「捨てること」ではかどる業務改革

GW明けの5月8日から新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけが5類に移行し、3年を超えるコロナ禍がひとつの区切りを迎えました。コロナ禍で強制的に進んだ業務のDX化は、コロナを終えても終わりません。システムにのらない業務は放っておけば増えていきますので、定期的に業務の可視化をはかり、システムにのせていく、つまりDX化を行うことが大切です。そこで、今回はDX化を進めるためにも、また維持していくためにも必要なDX化のプロセスをお伝えします。

人事に限らず、業務改革をおこなう際には、まず“業務整理をして可視化”する事が肝要です。
ここを見誤ると、業務改革が効果を生まないどころか、かえって負荷がかかって失敗する事になってしまいます。
そうならない為の業務改革をはかりDX化を進めるプロセスをステップ毎にお伝えします。

1)今までの手法を“捨てる”

例えば料理を連想してください。包丁とフライパンなどに加え、便利な調理器具を新たに購入したとしたら、出来上がる料理は同じでも調理方法も変わりますよね。
それを給与計算などの人事業務に置き換えてみてください。給与計算結果は同じですが、使うシステムが変われば処理方法は変わるはずです。
システムを入れ替えたり、アウトソースを採用したりする場合は、「今までの業務はこうだった」という考えは一度捨てて、新たな仕組みを有効活用できる最適な方法を考えましょう。

2)定型化できる業務とできない業務を見極める

人事業務の中でも、同じルールの下で進めることができる業務と個別対応している業務が多かれ少なかれあるのではないでしょうか。まずは、その仕分けをしましょう。以下に一例を紹介します。

定型化できる業務

  • 規程で定められている手当計算
  • 逸脱なく一律のルールで運用されている手続き

定型化できない業務

  • 規程に書かれているが「原則として」という前置きがあるが故に曖昧になっているルール
  • 個別対応していたり、都度判断していたりする業務

3)定型化できない業務を定型化できないか考える

仕分けをした結果、定型化できないと仕分けをした業務は例外対応業務とみなされたものが多いと思われます。
ですが、それは果たして本当に全部例外になっているでしょうか。
個別対応している社員が20名いたとして、その詳細を確認したら実は14名は同じ処理方法だとしたら、それはルール化できそうな気がしませんか。仕方がないと諦めていたが、実は整理できるような事も意外にあるものです。
定型化できない業務全体を見て、カテゴリ別に細分化する等してみてください。実はそこに共通のルールが存在する事があります。

4)無駄な業務を捨てられないか考えてみる

ここまで細分化しても残る業務はどうしましょうか?
「もう仕方がないから」と諦めますか?
いえ、もう少しだけ踏み込んでみましょう。

なぜそのような業務が生まれたか考えてみてください。

  • 急に言われたので突貫工事で対応した名残
  • 以前からあったのでわからない

などが、過去に質問した時の回答で多い印象です。

それらの業務については、無くしても問題ないか考えてみてはいかがでしょうか。

  • 見直してみると、既存のルールに当てはまらないか
  • そもそも、この業務は後続の何に繋がっているのかわからない

など、是非とも業務改革を進める中で見つけた無駄や過剰と思われる業務を削減する事を検討してみてください。

5)システムに求める事を決める

これまで行なってきた業務整理を経て、システムの要件を決めていきますが、業務改革の効果を最大限に得るため、最後にもう一つ考えてみましょう。
それは、新たに採用するシステムの機能から実装するものとしないものを決める事です。
まず、「集計」「計算」「記憶」はヒトよりもシステムの方が優れているのを前提とします。その上で、ここまで整理してきた業務を見極め、システムに頼るものと、運用で賄う業務を決めていきましょう。例としては以下のようなものが想定できます。

システムに実装するもの

  • 計算方法などが規程などで明らかになっている手当等
  • 一律同条件で管理しているデータ
  • 変更履歴を記録したいデータ、など

システムではなく運用で対応するもの

  • 個別に管理していたり、都度計算方法が変わったりする手当等
  • 規程等で定められている手当だが一部例外があるもの、など

よく、システムを使うためにかえって労力を要してしまう事態に陥ってしまう話を聞きます。システムを利用しているのではなく「利用されている」状態です。
このように仕分けていくと、よく陥りがちな「目的と手段の入れ替わり」と防止する事ができます。

これらのステップを経て業務を見直すと、これまでの業務の無駄が整理されるだけでなく、潜在リスクも顕在化されます。そうすると、日頃の業務にも良い意味で濃淡が出てきます。
「この業務はここからが自動で処理されるので安心」
「あの業務は例外対応なので、注意して処理しないと」
「この時点で確認が必要だね」
気になるからと全部をチェックして時間が無くなったり、二次チェックや三次チェックなどの重複処理を無くしたりすることが可能になります。

DX化のプロセス

数年前より「2025年の崖」という言葉が謳われてDX化の本格展開が課題となっていましたが、それがコロナ禍により加速したのは言うまでもありません。
その一助として、DX化のポイントを、お客様のお悩みを解決させる当社の取り組みを少しネタバレも交えて、具体的に踏み込んでお伝えしました。釈迦に説法な内容かもしれませんが、頭の中を整理するきっかけになれば幸いです。

データ処理だけに汗を流すのはこれからの人事部の姿では無いと当社は考えています。DXの推進を機会に業務の流れやデータの流れを見直し、社内で整理されたナレッジを蓄積し、皆様が描いている「人事部のカタチ」を目指してみてください。

最後に

当社では、人事システムEHRと労務管理の代行を通じて、時代とともに変化の生じる人事課題の解決をご支援させていただいております。人事DXに関してご相談がありましたら、お気軽にお問合せください。

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