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全国の人事パーソンへのメッセージ

人事部長の想い切りトーク

アラタナ人事 Vol.004

世界中のクリエイターを支援するために ~GMOペパボ流!オープン&フラットな組織風土~

2023年10月23日
  • GMOペパボ株式会社
  • HR統括部 副部長
  • 船橋 恵氏
  • 2009年GMOペパボ入社。役員秘書、サービスディレクターを経て、2013年より人事部門に従事。2014年育休中に社会保険労務士資格を取得。採用や研修、評価制度等の制度設計、運用等の業務を担当し、現在はHR統括部の副部長として組織力向上をミッションとした業務に注力。
  • レジェンダ・コーポレーション株式会社
  • 執行役員 兼 人事労務支援事業部部長
  • 持田 時宗

※会社名・役職等は取材当時の名称を掲載しております。

レンタルサーバー「ロリポップ!」をはじめとするホスティング事業、ハンドメイド事業(minne)、EC支援事業「カラーミーショップ」「SUZURI」等、様々なインターネットサービスを提供しているGMOペパボ。 従業員比率の3割以上がエンジニアを占める同社では人事施策も情報開示が積極的になされ、また、良いものは全社に展開されるというオープンな組織風土がある。オープンな組織風土がどうやって生まれたのか、また、GMOペパボ特有のコミュニケーションのあり方について話を伺った。

積極的な情報開示で浸透!リファラル採用・オンボーディング施策

  • リファラル採用が浸透していると聞いていますが、社内に向けてどんな取り組みをされていますか?

    直近3年間でリファラル採用の比率が採用チャネルとして2割から4割程度あります。他社と比較して高いのかどうかはわかりませんが、現状は積極的に取り組んでいきたいなと思っているところです。

    リファラル採用に限ったことではないですが、制度の情報や定量的な数値は社内に積極的に情報開示しています。リファラル採用について年に1~2回は積極的に取り組んでいますという意思表明と、直近1年間はこの方たちがリファラルで入社してくれましたという定量結果を、全社のSlackで共有しています。弊社では社員のことをパートナーと呼んでいるのですが、パートナーに対する感謝の意思表明と情報共有になっていますね。

    パートナーが入社した1か月後に人事から入社したパートナーにヒアリングを実施しているのですが、入社後スムーズに仕事ができているか、チーム内のコミュニケーションはしっかり取れているかなどの確認を行なっています。今後はそこでもリファラル採用の制度や事例の紹介などのコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

  • リファラル採用は社員のエンゲージメントが高いからこそ成立するのかなと…。エンゲージメントに関する取り組みはされていますか?

    エンゲージメントのスコアを、システムを使って計測しています。計測をはじめたときの目的は、組織の健康状態を把握するために定量的な状態把握を行って、強い組織を作っていきたいと考えたからです。

    月次のエンゲージメントスコアをとっていて、毎月の結果はフィードバックとして全社に公開しています。また、年に一度経営メンバーで行う合宿に直近数年のスコア推移と分析をレポートとして提出しています。全社に影響する人事の取り組みとしては、2017年度から「新しい働き方に備える」というテーマをもとに人事制度改定の準備を進めてきましたが、フレックスタイム制の導入や育児や介護をされているパートナーへの在宅勤務制度、評価制度・報酬制度の改定を進める中、スコアが向上していき、エンゲージメントの変化が見える化できたと思います。

  • コロナ禍でオンラインの働き方が増える中、入社されてきた方が、定着していくのは、難しい環境になってしまいましたが、新規の入社者への取り組みはありますか?

    職種によっても異なりますが、エンジニアのオンボーディングですと、「ペパボカクテル」という取り組みがあります。「ペパボカクテル」自体のSlackチャンネルがあって、その中でエンジニア同士がコミュニケーションをとれるようになっています。「ペパボカクテル」は入社後3か月以内が対象で、CTO(最高技術責任者)との1on1や、社内の技術発表会での自己紹介、スケジュールランチの開催など充実したプログラム内容です。

    エンジニアが意欲的に先行して取り組んでくれると、それを他の職種に展開することがあって、今オンボーディングについては、HRの中で、横断的に全社に展開させようと取り組んでいるところです。

    人事の取り組みを情報開示しやすいことや、エンジニアの取り組みを全社に展開しやすいのは、GMOペパボ流というか、オープンな組織風土があるからやりやすいのかなと感じています。

世界中の人の表現活動を支援する!そのために私たち自身がアウトプットを楽しみます。

  • オープンなカルチャーというのはペパボさんらしさなんですね。どんなふうにオープンさが醸成していったのでしょうか?

    オープンであることの前提として、アウトプットを大切にしているペパボのカルチャーがあります。また、ペパボは「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」というミッションのもと、クリエイターの方の活動支援のためのサービスを提供しています。世界中の人の表現活動を支援するのが事業の軸にあるので、私たち自身も表現活動やアウトプットを楽しむことで、クリエイターの皆様の気持ちに寄り添ったサービスが提供できると考えています。オープンなカルチャーは事業を提供する上で自然とはぐくまれてきたのだと思います。

    2011年から新卒採用をはじめましたが、その際の採用の軸として、社長が「大切にして欲しい3つのこと」というのを言語化したんですね。「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプットすること」がその3つです。2018年に「わたしたちが大切にしている3つのこと」にリデザインしました。その背景には、3つのことがパートナーの中に定着し、自発的に体現できるようになったことがあります。面接でも、企業理念やミッションに加え、大切にしている3つのことに共感してくれているか、というのは必ず見るようにしています。

    オープンな風土の理由の一つとして、職種としてデザイナーやエンジニアが多いから、というのもあります。エンジニア比率は全社員の3割です。エンジニア自体、自分たちの行動や知見をオープンにすることがそもそものカルチャーとしてあるので、ペパボと相性が良いんですよね。

  • アウトプットを支援するという事業や、エンジニアとの相性がよくオープンなカルチャーにつながっていったんですね。

    はい、他にも考えられるのは評価制度の影響もあると思います。評価項目の中に「影響を広げる力」があります。社内勉強会や社外で登壇することって、業務に直接的に関わることでなければ業務時間に取り組むことに是非があるものですよね。

    ペパボの場合は評価の項目にあることも後押しとなり、情報発信がしやすい環境にあると思います。職種が異なる者同士であっても読書会を開催したり、外部セミナーなどでインプットした情報をチーム内に共有したり、自身の知見をテックブログやHRブログで発信したり、アウトプットの形は様々ですが、自分のためにも会社の情報発信の手助けにもなるという気持ちで、意欲的に取り組んでくれる人が多いですね。

  • 業務に直接的なことじゃなくてもってことですか?

    評価対象となるのは等級によってその影響範囲や取り組みの粒度が問われますが、情報発信という点においては、自分が担っている業務以外のことであっても、例えば、ペパボのエンジニアとしてとか、クリエイティブなことを自分の趣味の領域であってもTwitterでツイートするとか、その人自身のことを発信していることは推奨しています。

    今はリモートと出社のハイブリッドな働き方となっていて、全パートナーが一堂に会する機会は多くありません。部署が異なるパートナーや仕事で直接関わらないパートナーとは接点が薄れてしまいます。「わたしたちが大切にしている3つのこと」の「みんなと仲良くすること」にも通じますが、アウトプットを通じて自分のことを知ってもらい、相手のことをより知るために情報をとりに行くことが、結果として仲間としての良い関係を作ることにつながると考えています。趣味や好きなことなど、情報発信の場はTwitterやInstagram、ブログなど様々なSNSでいいので、発信していきましょうねという風土があります。

オープンカルチャーを支えるアウトプット能力の高さ

  • エンジニア以外の職種の方もアウトプットは日常的なんでしょうか?

    はい、ナレッジをシェアする定期的な取り組みはどの職種でも展開されています。デザイナーがやっている定期的な社内イベントのデザイナーズミーティング、ディレクターはディレクターグロースミーティング、PRに関わっている人はPRミーティングなど各職種で展開されています。どの職種でもアウトプットする機会を積極的に作っています。この職種はアウトプットできて、この職種はできないという概念がペパボにはないですね。

    評価資料も全社でオープンになっています。全社で共有されることで、技術成果やナレッジ共有にはたらいているなと感じています。

    例えば、新しく入社したパートナーは、チームメンバーや同じ職種のパートナーの評価資料を見れば、自身の業務の参考にすることができますし、自分より等級の高いパートナーがどんな専門性でどんな成果を実績として出しているのかなど、資料で確認することができます。それだけでも成長の環境になっているのではないかと思います。

    資料を作る側も腕をまくる部分です。自分とかかわりのない人やその仕事を知らない人が読んでも、理解できるように書かなければなりません。変化が激しく不確実性の高い中で、組織や個人が成長し続けるためには、再現性を高めていくことが重要だと考えています。評価制度を通じて、個々人が自身の仕事の成果やプロセスを言語化し、振り返ることは全社において再現性を高めることの一助となるはずです。そのためにも、チーム内や上長との関係の中だけで完結させるのではなく、誰が読んでも理解できるよう言語化することが求められるのです。

  • 日頃からアウトプットする力を訓練されているんですね。

    自分のアクションと結果を抽象化したり、具体化したりっていう脳内でのやりとりも必要ですし、言語化はかなり訓練されますね。そこもペパボの「アウトプットする」いう文化には紐づいているので、そこでめちゃくちゃ成長します。人を納得させる文章の書き方だったりとか、自分の仕事を可視化して他者から見たときにどう表現するかとか。自分の仕事についてすごく考えるようになったりしますね。

  • オープンなカルチャーの土台には、一人ひとりのアウトプット能力の高さがあってこそなんだということがわかってきました。

    オープンであると同時にフラットさもあります。あだ名文化が昔からあって、社長のこともみんな下の名前で「ケンタロさん」と呼んでいます。フラットにコミュニケーションをとりやすい雰囲気になっていると思います。入社してあだ名がない方は、「あだ名をつけよう!」ってなります。
    あだ名文化は、昔からあったもので、一朝一夕ではなかなか身につかないと思うので、逆に大切にしていきたいなと思います。

    Slackも結構スタンプの数、リアクション、絵文字の数が多いんじゃないかと思います。例えば、役員が発信したものでも役員の顔のスタンプのリアクションがついたりして、もしかするとちょっと固い風土の会社から見ると珍しいことかもしれません。

    コロナ禍になって、オンラインがプラットホームになった時には、Slackがコミュニケーションの中心になっていって、テキストで「よろしくお願いします。」となると冷たく感じてしまうので、絵文字で対応することも多いです。Slackの中でもDMよりは、個人情報を含まなければ基本的にはオープンなチャンネルでコミュニケーションしましょうというのがルールになっているので、1人1人の言語化力とか、冷たくならないコミュニケーション術みたいなスキルは身についてるかなと思いますね。

「もっとおもしろくできる」という理念に共感した仲間とともに!

  • 最後に船橋さんがこれからやりたいことや思いなどをお聞かせいただけますか?

    クリエイター支援という事業の軸はありつつも、事業の展開はその時代の変化とともに変わってきています。ユーザーさんもホームページを立ち上げたい人から、自分の描いた絵をTシャツにして売りたいという人までいます。表現の形も様々変わっていきますが、「もっとおもしろくできる」という理念に共感して入ってきている仲間たちがいます。

    もっと自分たちのいい部分を日常的に受け取って、それを自信持って発信できるような仕組みを人事としては提供していきたいです。それによって多くの人が事業や採用活動を通じて私たちのいい部分を受け取ってくれると思うし、それが循環して社会にプロダクトを提供し、表現者を増やしていくことにもなると思います。

    私たちにとっては、あだ名文化のことや、絵文字やリアクションをたくさんつけることも、もう当たり前になりすぎてしまって、アピールするものではないと思っていたりするのですが、そういった小さなことであっても、ペパボのカルチャーやプロダクト、働くパートナーたちのよい部分をもっと発信していきたいですね。

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