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全国の人事パーソンへのメッセージ

人事部長の想い切りトーク

Vol030想い切りトーク

人事は経営者たれ。事業や経営の経験をもち 新しい価値を生み出す人事パーソンへ。

取材日: 2023年10月23日

  • 株式会社じげん
  • 取締役 執行役員
  • 天野 孝則氏

インタビュアー北澤 孝太郎

※会社名・役職等は取材当時の名称を掲載しております。

株式会社じげんは、「生活機会の最大化」を目指し、ライフイベント(求人・住まい・車など)に関わる40以上のサービスやメディアの企画・運営を行っている。2006年に創業したのち、2013年東京証券取引所マザーズへ上場、2018年東京証券取引所第一部、2022年にはプライム市場へ市場変更した。多岐にわたるビジネスモデルからなるコングロマリットな企業において、経営と人事にどのような考えを用いているのか。同社取締役 執行役員天野孝則様にお話を伺った。

PROFILEいつどこでも価値発揮できる人材になりたい と思い転職へ踏み切る

  • じげんに転職されたきっかけを教えてください。

    前職をやめたときは営業マネージャーでした。37歳になる直前ぐらいの時です。前職では最優秀マネージャーになって、周囲から評価してもらえている状態でしたが、自分の実力に一番疑問を持っていたのが自分なんです。いつどこででも価値を発揮できる人材になるために、そしてまだまだ成長をしたいと思い退職を決めました。
    転職活動した中で、一番大変そうだと思った会社。それがじげんでした。大変なところほど成長できると思って入社を決めました。

  • じげんに入社してから、現職につくまでのキャリアは?

    2016年7月に入社し、グループ会社である株式会社ブレイン・ラボの営業責任者として兼務出向し、2017年10月には同社の代表取締役社長に就任しました。2019年8月からは株式会社じげんの経営推進部の責任者を兼任し、人事と広報を管轄していました。2020年7月より執行役員、2021年7月より現職につき、じげんグループ全体の価値向上をミッションとして事業伸長、組織成長の両面をみています。具体的に人事部門においてはパーパスや経営戦略に合わせた人事戦略を代表の平尾と共に作り上げています。

MISSION 社員の成長環境を創り続けることで、 社会のupdateに貢献する

  • これまで21件ものM&Aをされてきて、大小さまざまな会社が集まっていますね。一体化はどのように行っていらっしゃいますか?

    確かにじげんは複数の事業・会社が集まってできている会社です。求人、住まい、旅行、車など扱っている商材やビジネスモデルが多岐にわたっています。メディアもあればSaaSもあればリアル事業もあるなどコングロマリットな企業です。それに合わせて、必要な人材も多種多様ですので、カルチャーコングロマリットを意識して組織運営しています。
    一体化という点では、グループ共通のフィロソフィーを設定しています。そのうちの一つ、昨年15周年を迎えた節目に企業の存在意義である「パーパス」を新設しました。「Update Your Story あなたを、未来に。」というものです。「人生の主役は自分。じげんのサービスをきっかけとして人生を進化させてほしい」という想いが込められています。

  • 経営理念については土台を作っただけでは浸透が難しいですね。どう浸透されていますか。

    色々な角度でやっています。例えば、社員向けには「明日会(あすかい)」といって、3ヶ月に一度経営陣から全社員向け発信を行う全社の経営会議があります。そこでは事業と組織の振り返りや今後の方針について伝えるなど、理念を軸とした発信を行っています。また毎年創業記念日の6月1日前後に全社行う「アニバーサリー」イベントの実施。それ以外では年次、Q毎、月次で実績と共にフィロソフィーを体現した社員の表彰も行っています。

  • じげんの風土、習慣はありますか?

    はい、じげんはこれまで「事業家集団」を標ぼうしてきました。「事業統括会」という隔週で実施している経営会議では、事業責任者と経営陣とが事業をどう伸ばすのかを細かい粒度で議論しています。また、13ある事業部門では、向こう3年の事業計画を相当な時間をかけて毎年アップデートさせています。
    昨年創業15周年を迎え、パーパスの新設やロゴのリニューアルと共に、第二創業期のようなイメージで人事制度の見直しなど大幅な改革を行っています。成長期から成熟期への移行に見えるかもしれませんが、一方では今でもベンチャーならではの風土を大切にしている面もあります。政治的なものが一切なく、成果と意欲がある人に対して本当に機会の平等が担保されており、そこは誇れる部分だと思います。
    そのような環境ですので、2~3年目でマネージャーや事業責任者になる人もいます。ですので、早期成長環境を求める若い方にはうってつけの環境ですね。

  • 今、日本で一番困っているのは、与えられた課題を解決する能力は高い一方で、自ら課題をみつけるのが苦手という部分です。この点に関して、天野さんなりの突破口はありますか?

    そこは、なかなか難しい問いでは有りますが、じげんでは、Q毎にミッション設定をしています。その中で通常のアウトプットとプロセスに分けた業務目標に加え、全員にパーパスを意識した「UPDATE」という項目を新設しました。これは、事業でも、業務でも、組織課題でもよいのですが、社員自身が足元の結果だけでは無く、より大きい・広い・長い影響範囲での改善やアップデートが必要な課題へ自発的な取組むことを促し、且つ会社としてちゃんと評価していこうという制度です。
    等級や役職によっても課題のレベルが異なりますし、毎Qで項目が変わるものもあれば、中長期で取り組むものもあります。Q毎にこの項目について上司と考える時間を作ることで、自発的な課題発見能力を磨いていけると考えています。

MESSAGE 経営視点を持ち、ベースに愛情のある人事になること

  • 人事パーソンへのメッセージをお願いします。

    一言で言うと「人事は経営者たれ」ですね。人事が重要と言っている会社は数多くありますが、経営戦略と人事戦略を一体化できているところはまだまだ少ないんじゃないかと思います。
    じげんのようなIT企業においては、人の力はなによりも重要です。ただ、人に対する投資が必要なら経営視点での投資対効果を説明出来ねばなりません。そういう意味では人事にも、事業や経営の経験を持っている人が必要になってきていると感じています。人事の組織の中にもダイバーシティを取り入れていくことで、新しい価値が生み出せると思います。
    また、採用分野においては、マーケティング視点も求められるようになってきています。既存の採用チャネルはレッドオーシャンになっていたり、一部企業のwinner takes ALL感が過去より鮮明なってきたりと、ますますハードな環境になりつつあります。また人口動態的にも人手不足感が顕著に表れてきています。そんな背景をふまえながら、リーチする市場やエリアそのものをピボットして発見するようなダイナミックな打ち手を考えられる人が必要でしょう。そもそも日本だけで採用していいのか。そういう視点を持てることが大切です。
    その上で、結局のところ人事は全ての人や事柄に対してベースに愛情を持って向き合わないといけないと思っています。従業員、自社、その他のステークホルダーなど、全てに対して愛のある対応していきたいと思っています。人事は、「人ごと」ですから。

  • 組織において、細やかな配慮が必要なところを「愛情」という言葉で表現されましたけども、共感します。合理的であるだけでは、立ち行かないですし…

    そうですね。これはちょっと僕の言葉なんですが、「情理一体」で考えることが大切で、組織における合理性だと思っています、情は感情の情、理は理屈の理なんですけど。
    一見、合理性と言うと、理屈とか数字でみていきがちですが、人が絡む以上、人の感情を視野に入れて考えた上での最適解を出さないと、結局は合理的じゃないです。
    目的達成し続けるためには、情理一体のスコープで全てをひっくるめて最適な判断をして、組織全体を良くしていく。事業価値を高めていく。そのために人事は経営者たれ、と考えています。

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